実に賢い頭の使い方37の習慣

実に賢い頭の使い方37の習慣
  • 206p 19cm(B6)
  • 三笠書房 (2005-05-25出版)

渡部 昇一【著】

  • [B6 判] NDC分類:159 販売価:\1,365(税込) (本体価:\1,300)

実に賢い頭の使い方37の習慣

「頭の“使いかた”がうまい人」とは、人より少しでも先が見えたり、打つ手が機敏だったり、何が大事で何が大事でないか即時に判断できる人。また、人間関係の機微をしっかりつかみ、人の力をうまく利用できる人である。

本書は、これらの方法を具体的に実現した、その道の達人たちの「頭の使いかた」実例集である。

  • 1章 「頭一つ抜け出す人」が考えること、実行していること
  • 2章 やりたいことを次々と実現させていく人
  • 3章 まわりから必要とされる人
  • 4章 判断に間違いがない人
  • 5章 無形の財産が豊富な人
  • 6章 自分の限界をらくに超えていく人
  • 7章 何をやっても楽しい人

となります。

この本では多くの知識人、産業人の人たちの仕事術、知的生産術をとりあげています。

一例をあげると、16ページから抜粋。

┏  引用開始 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓

ここしばらくの間、企業の中国進出が企業性向の王道の如く思われてきている。その後押しをしているのが、『日本経済新聞』だが、これについては次のような話がある。

『サラリーマンでも「大家さん」になれる46の秘訣』という本の著者・藤山勇司氏は、一般紙ではない『日経産業新聞』が参考になるという。この新聞は、一般紙レベルの読者を意識せず、よけいな解説を交えない紙面づくりが特徴で、製品化の見込みも立っていない開発初期段階の技術を取り上げることも多い。それが数ヶ月後、数年後の世の中の動きを予測するのに役立つといわれている。

たとえば、藤山氏が注目したものの一つに、「中国に進出した日本企業の『撤退セミナー』が好評だ」 という記事があった。日本企業の中国進出ブームは、いまだに衰えていない。しかし、・・・・

┗━━引用終わり━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

 上記は一例だが、人の情報の取り方や考え方がたくさんあります。私は政治面と経済面の動きを読むのが好きなので、この『日経産業新聞』を以前読んでいて、確かにいいと思ってました。

 このエピソードが『サラリーマンでも「大家さん」になれる46の秘訣』に載っているものかは不明だが、渡部先生がジャンルをとわず乱読(?)されていることに嫌が上でも気づくほど、さまざまな作家の本から紹介しています。

渡部先生が論戦に強い理由は、ジャンルを超えた古今東西の本から論証を繰り返せるところにあるのだと思います。

この本は、セブンイレブンの鈴木敏文社長、キャノンの御手洗冨士夫氏、カリスマバイヤー藤巻幸夫、作家の秋元康氏など各界の一流の著名人のエピソードなどを織り交ぜ仕事術の公開しているから読んでお得な一冊といえよう。

その他の紹介された人は

プロ野球の古田敦也、哲学者木田元、『知的生活』の著者フィリップ・G・ハマトン、ベンジャミン・フランクリン、『3分間社長塾』の著者高井伸夫、池波正太郎、イギリスの作家アンソニー・トロロプ、林羅山、作家・津島佑子、英文学の大家・斉藤勇、イタリアの経済学者ヴィルフレート・パレート(パレートの法則)、漢字の研究家・白川静、イギリスの歴史家エドワード・ギボン、指揮者の小林研一郎、小沢征爾、将棋の谷川浩司名人、夏目漱石、小説家・安岡章太郎、イギリスの劇作家・バーナード・ショー、ジョン・F・ケネディ、昭和電工元名誉会長・鈴木治雄、新渡戸稲造、福沢諭吉、幸田露伴、サントリーの佐治敬三、山田洋次監督、『「可変思考」で創造しよう』の著者で数学者・広中平祐、竹村健一、桂太郎、松下幸之助、ダスキンの元社長・駒井茂春、司馬遼太郎、本田宗一郎、『40字要約で仕事はどんどんうまくいく』の著者・原田 虔一郎、『黄昏のロンドン』の著者・木村治美、天声人語の著者の一人・荒垣秀雄、西郷隆盛、佐藤紅緑、G・K・チェスタトン、ダーウィン、カント、アメリカの思想家・エマソン、東京医科歯科大名誉教授・角田忠信、将棋の大山康晴、イチロー、アレキシス・カレルなどなど。

挙げていく途中で途中でやめようかと思うくらいびっくりするほどの人数でした。(笑)古今の著名人の仕事術系のものはすべて網羅されるんじゃないかと思えるほどです。

渡部先生は西郷隆盛の名言を口ぐせにされているようでした。

「幾度か辛酸を経て、志はじめて堅し」

これは「南洲翁遺訓」を読む―わが西郷隆盛論

にもでてくる言葉です。

私は、これを読んだとき、司馬遼太郎の『世に棲む日々』という小説を高校時代に読んで吉田松陰の言葉が気に入っていたことを思い出しました。うるおぼえです。たしか、

「計(はかりごと)いよいよたが?いて、志いよいよ堅し。」

ちょっと自信ありません。すいません。

これは松陰が、渡米しようと計画するのですが、失敗を重ねても志を堅くするくだりででてきました。もう一度、世に棲むを引っ張り出して読んでみたくなりました。

最後に仕事術ではないが、この本で私が一番共感した部分を紹介します。携帯電話で失われたものの例だが、笑いながらもひざを叩きました。

┏  引用開始 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓

携帯電話がなかった頃は、待ち合わせ場所や時間を間違えると大変だった。喫茶店など、連絡が取れるような場所ならいいか、そうでないと、お互いに連絡も取れず、貴重な時間を浪費してしまったものだ。

(中略)

たとえば、初めてのデートのときなど、待ち合わせの場所や時間は間違ってないだろうか、約束していた時間が5分でも過ぎようものなら、自分はフラれたのではないかと暗澹たる気分になる、といった経験がある人もいるだろう。そのとき、相手の姿が目に飛び込んできて、一気に天にも上る心地にーーー。こうして不安と楽しみのスリルも失われた。嘆かわしい限りである。

┗━━引用終わり━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

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